マラソン完走・自己ベスト更新への道

マラソンに必要なことは運動神経ではありません!練習や万全の準備さえしっかりしていれば誰でもある程度のタイムは出せます!

太ももの使い方

大腿二頭筋と大腿四頭筋

太の使い方で最も鍵を握る筋肉の部位といえば大腿二頭筋になるでしょう。
ハムストリングという筋肉の部位を聞いたことがあると思いますが、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の3つを合わせた筋肉の総称であり、太ももの裏側の筋肉になります。その中でも大腿二頭筋は外側に付いた筋肉であり、外側ハムストリングとも呼ばれています。走る競技をする上では最重要筋肉と言われますが、鍛えることが難しい筋肉です。
さて、この大腿二頭筋が何をしているかというと、走る時に脚を後ろに振り出し、前方に進むための力を産み出します。車で例えればアクセルの働きをするため、走る上では絶対に欠かせない筋肉であることがわかるでしょう。
次に大腿四頭筋ですが、こちらは太ももの前側に付いた筋肉です。この筋肉は膝の伸展や股関節を動かす時、そして膝を支えるために重要な役割を果たします。また、この筋肉は前方に進んでいる体の動きを止める筋肉であり、車で例えればブレーキの役割を果たします。
大腿四頭筋は着地の瞬間の衝撃を受け止める役割も果たしており、この筋肉がなければ走り出してから止まることも着地すらもできないため、大腿四頭筋も走る上では必ず必要な筋肉です。
アクセルの役割をする筋肉とブレーキの役割をする筋肉、スピードを上げて走るという点だけに絞った場合にどちらが重要かといいますと、当然アクセルの役割をする筋肉だとわかりますね。
よって太ももの裏側の筋肉である大腿二頭筋を使うことを意識しましょう。前側の筋肉も膝や股関節を動かすために働くため、使う場面はたくさんあるのですが、極力は力を弛めてリラックスさせ、前に進む力は後ろの筋肉に任せましょう。

効率の良い脚の運びを

太もも裏側の筋肉(大腿二頭筋)を使う際、着地の時に力を入れるのではなく、着地をした脚が自然と前に出てくるように反動を意識すると良いです。
太ももで反動と言われてもピンと来ない方は、実践してもらえれば理解できると思うのですが、着地した時にただ脚を着けるのではなく、太ももで蹴り上げる感覚で着地してください。すると脚が自然と前に出てきます。その脚でまた後ろに蹴り上げて、また蹴り上げて…と繰り返していくのです。
この時注意してもらいたい点が3つあります。
まずは足首で蹴り上げないことです。太さを比べてみるとわかりますが、足首は脚全体でも一番細い部位になります。よって疲労が溜まりやすい部位のため、長い距離のマラソンで足首で蹴り上げ続けながら走るのは無理があります。
また、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)は力を入れずにリラックスさせてください。前述しましたように、大腿四頭筋はブレーキの役割を果たすため、この筋肉に力を入れながら走ることはブレーキをかけながら走っているようなものです。特に重心が前屈みで走るランナーはどうしても前の方の筋肉を使ってしまいがちです。頭と姿勢を真っ直ぐにして走りに無駄が生じないように、アクセルを踏み続けるような走りをしましょう。
そしてもう一点は、反動をつけた力で上に跳ね上がらないことです。跳ね上がってしまうと、前に進むために使える力をみすみす逃してしまうことになります。また、着地の時の衝撃も大きくなり、負担が大きくなってしまいます。反動をつけた力は、あくまでも前に進むための推進力として利用しましょう。
以上の点に注意して太ももを使えば、より効率の良い走りができるようになります。太ももは前に脚を出すために力を使うのではなく、後ろに蹴り出すために力を使うことを意識してください。

最も太い筋肉をフル活用

太ももは脚の筋肉の中でも最も太い筋肉です。よって負荷を与えても最も耐えられる筋肉ということになり、この筋肉を使わない手はないのです。マラソンでは着地の瞬間に体重の3倍の負荷がかかると言われており、それが何キロも続いていくのです。
細い足首や膝に負担をかけるとすぐに走るのがきつくなってしまいます。そうならないように、極力負荷は太ももにかけるようにしましょう。

膝の怪我を防ぐ

マラソンをしているランナーの中には、膝の痛みで悩んでいる人も多いと思います。特に長い距離を何度も走り、膝に負荷を与え続けた場合に関節の痛みを発症するケースが多いと思います。
これは膝の弱さというよりも、膝周りの筋肉が弱いことが原因です。膝は周囲を複数の筋肉で囲まれていますが、これらの筋肉は膝の関節を可動させる役割と同時に、膝を支える役割も担っているのです。
太ももをしっかり使い、一番脚に衝撃がかかる着地のタイミングで膝を守ることで怪我を防ぐことができます。膝を守る上では大腿二頭筋も大腿四頭筋も両方大切ですが、着地のタイミングで負荷を和らげることを考えれば、太ももの前側である大腿四頭筋を鍛えることが効果的だとわかります。
基本的に大腿二頭筋に比べて力を弛めておく大腿四頭筋ですが、着地の時は意識的に力を入れずとも膝を守る役割を担うので、しっかり鍛えておきましょう。

姿勢が良くなる

大腿二頭筋を使うことを意識して走ってもらえればわかりますが、太ももの裏側を意識すると自然と姿勢が良くなります。反動を意識して走っているためか、多少腰を前に押し出しながら走っている感覚になり、自然と背中を反ることができるのです。特にいつも前屈みで走っていたランナーは違いに気付きやすいでしょう。どちらかというと、太ももの裏側をしっかり使っていれば、前屈みで走ることの方が難しいです。また、うまく太ももの裏側を使えずに反動を生み出せないランナーは、前屈みで走っていないか確認し、もし前屈みになっていれば、頭を上げて姿勢を真っ直ぐにしてみてください。きっと姿勢を正す前よりも太ももが使えて反動を意識した走りができます。